不動産投資|減価償却費で節税する仕組みを分かりやすく解説!
「減価償却が終わったらどうなっちゃうの…?」
今この記事を読んでいるということは、こんな不安がよぎったのではないでしょうか。その不安を抱えることになったあなたは非常に鋭いです。
減価償却が終わると、今まで一緒に闘ってくれていた強い味方がいなくなり、これまで以上に税金との闘いをしなくてはならない感覚です。
「節税もできて収支も余裕」のはずがまさかこんなことに…なんてことにならないよう、仕組みを簡単にでも知っておきましょう。
不動産投資の減価償却費とは?
ワンルームマンションの建物自体や、ユニットバスなどの付帯設備は時間とともにだんだん老朽化し、価値が減っていきますよね?
「その減少分を毎年経費として計上していいですよ」というのが減価償却費です。実際には出費していないのに経費として計上していいため、投資家にとって心強い味方なんです。
減価償却費で節税する仕組み
なぜ減価償却費は税金を圧縮してくれるのでしょうか。その仕組みが理解できないと、その先に訪れる税金地獄も理解できないので、例を挙げて解説します。
こんな条件のワンルーム投資を行っているとします。
- 取得価格2500万円(建物は1500万円)
- 築年数20年
- 融資金額2000万円
- 金利2%・融資期間30年
- 年間家賃120万円
- 年間運営費20万円
課税される所得が「実際の儲けより少なくなる」内訳を計算してみる
1年目の元金分は、491,573円、利息分は395,503円となり、合わせたローン支払い額は887,076円/年となります。
毎年の収支は、「家賃収入」-{ローン支払い額+運営費}で、
1,200,000-{887,076+200,000}=112,924円
となり、毎年プラスになって儲かっていますね。
では、毎年の所得はというと計算式は、「家賃収入」-{ローン利息+運営費+減価償却費}で、
1,200,000-{395,503+200,000+495,000※}=109,497円
実際のキャッシュフロー>不動産所得となり、課税される所得が実際の儲けより少なくなるのです。(税金は「収入」ではなく「所得」にかかるため)この差が節税につながるということ。
※計算方法は後ほど
損益通算で所得を圧縮
先ほどの例だと所得はキャッシュフローより若干少ない程度ですが、条件次第では、キャッシュフローはプラスなのに所得がマイナス、という状態にもなったりします。
そうすれば不動産収入での損失分を本業のサラリーマン収入などと相殺し、節税につなげることができますね。(納める税金が安くなる)
減価償却費の計算方法
そんな節税のための強い味方「減価償却費」ですが、どんなふうに計算したらいいかをシンプルに解説します。
まずは建物の構造から計算される「何年間で償却するか」です。
- 木造・・・22年
- 鉄骨(厚み3mm超~4mm以下)・・・27年
- 鉄骨(厚み4mm超)・・・34年
- 鉄筋コンクリート・・・47年
(出典:財務省|財務省令「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年三月三十一日大蔵省令第十五号)」)
このように、実は構造ごとに年数が決まっているんです。上記年数は新築だったらの話なので、中古だとまた話が変わります。
減価償却費の計算方法(中古)
中古の場合は、新築時の償却年数-築年数+(築年数×0.2)という計算式になり、例えば20年経った鉄筋コンクリートのマンションは、
47年-20年+(20年×0.2)=31年と計算されます。
ここで償却期間が分かったら、今度は国税庁の減価償却資産の償却率表を使って年間の償却率を調べればOK。(出典:国税庁|減価償却資産の償却率表)
31年で償却する資産は0.033と記載されているので、先ほどの例だと1500万円(建物)×0.033=495,000円が年間で経費計上できる減価償却費となるんです。こんなに大きな経費が実際の出費なく計上できたら大きいですよね!
年間の減価償却費を上げて節税するには?
さらに年間の減価償却費を上げて節税するには、建物本体と、ユニットバスやキッチン、電気配線などの付帯設備に分けることで、設備部分においてより多く減価償却費を計上する方法もあります。
ただし、「減価償却費が多くできて節税できるなら、ガンガン設備部分を入れちゃえ」と思ったあなた。それが減価償却費終了後の厳しい税金との闘いを早めることにつながるんです。
早く償却しきるか、ゆっくり償却するかの違いだけなので、年間で償却できる減価償却費を最大化させてもお得になるわけではありません。(最終的な合計額は同じ)
減価償却費の終了で起こること
減価償却が終わると、上段の例で言う495,000円の経費がまるまる無くなります。しかもローンの支払利息も年数とともに減るので、年間のキャッシュフローを遥かに上回る所得となってしまい、税金がとんでもないことになります。
しかも、物件を売却するときも会計上の資産が償却しきって評価が低くなります。どんなことが起きるかというと、「買ったときより売却値が低かった」としても大きな譲渡益が計上されてしまい、多額の税金がかかるということ。
要は、減価償却費で節税しまくっていると、後からツケが回ってくるという感覚です。もちろん適正に運用したり、事前の準備ができていれば特に問題になることはないでしょう。
まとめ:減価償却費や収入と所得の違いなどをある程度把握しておこう
なかなか減価償却費や収入と所得の違いなど、最初は難しい部分もあるかと思います。慣れていない場合、「減価償却が終わって税金との闘いがいつ始まるのか」というのも税理士に申告を任せたりしていると把握しづらかったりしますよね。
そんな時は不安なこと、よくわからないことを不動産投資に詳しいFPに相談してみるのも一つの手段だと思います。
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