個人事業主がインボイス制度の対応で申請できる補助金3選! 制度導入後も申請できる?
今回は個人事業主がインボイス制度対応時に受給できる補助金について解説します。
インボイス制度の対応にはいくつか補助金を申請できる場合があり、補助金を活用することで金銭的な負担なく制度に対応することが可能です。本記事ではインボイスで活用できる補助金などについてまとめました。
途中、インボイス制度についての疑問点にもお答えしておりますのでぜひ最後までお読みください。
インボイスに補助金とかあったんだね!
インボイス制度の概要と目的 (インボイス制度とは、インボイス制度の概要)
インボイス制度とは、日本の消費税の仕組みを改善し、取引の透明性を高めるための新しい制度です。
この制度の導入により、取引ごとの消費税の金額が記載された「インボイス」(請求書)を取引先に発行・受領することが必要となり、税額控除を行う際の根拠として用いられます。
制度の主な目的は2つです。
1つは、消費税の取引を明確にし、正確な税額控除を可能にすることです。
これにより、不正な税額控除を防ぎ、取引の透明性を高めることが期待されます。
もう1つの目的は、国際的な取引の標準に合わせることです。
多くの国で既にインボイス制度が採用されており、日本の制度もこれに準じる形となります。
企業や個人事業主は、この新しい制度に合わせて、税務の取り扱いや会計の手続きを見直す必要があるのです。
インボイス制度について詳しく見ていこう!
個人事業主がインボイス制度の対応で補助金を用いるべき理由
個人事業主はインボイス制度の対応で補助金を用いることができます。補助金を活用することで、通常より金銭的な負担が少なくインボイス制度に対応できます。具体的なメリットについては以下を参考にしてください。
インボイス制度に対応するための導入コストを軽減できるため (ツール導入や経理の負担を減らせるから)
インボイス制度に適応する方法として、適格請求書の基準を満たすITツールの導入があります。
このような新しいITツールや会計システムの導入には、当然のことながら一定のコストが必要です。
さらに、インボイス制度の開始とともに、適格請求書の発行や、それに伴う適格・非適格の仕分けなど、新たな業務が増えることが予想されます。
これにより、経理業務に関わる人員の負担が増大し、結果として人件費の増加や事業者の資金繰りに影響が出る可能性があります。
ここからもわかるように、インボイス制度の導入に伴う影響は、経済的なコストの増加として現れるのです。
これらのコストを軽減するための方法として、補助金の活用がおすすめです。
有利な条件で補助金を申請できるため (より有利な条件で補助を受けられる場合があるから)
事業者がインボイス制度の導入に対応する際には、通常よりも有利な条件で補助金を利用することができます。
特に、小規模事業者持続化補助金の中にあるインボイス特例を利用することで、免税事業者から課税事業者への転換を行う事業者は、通常の補助上限額に加えて50万円の補助が受けられます。
このようにインボイス制度への対応が必要な業者へは国からの手厚いサポートがあるので活用することをおすすめします。
事業変更を余儀なくされる場合があるため (インボイス制度によって事業の転換を迫られる可能性もあるから )
インボイス制度の導入によって、中小企業や個人事業主は新しい経営環境に順応しなければなりません。
特に、免税から課税への変更は消費税が増えるという負担をもたらします。
また、事業変更を選択しないと、取引関係に影響が出る可能性もあります。
さらに、課税事業者が免税事業者との取引を継続する場合、消費税控除の機会が減少して、経営への負担が増大するかもしれません。
このような状況で事業の再構築や方針の転換を考える事業者には「事業再構築補助金」の活用がおすすめされています。
個人事業主でもインボイス対応時に申請できる補助金3選
個人事業主も補助金の申請が可能です。
個人事業主では補助金を得るのが難しいと感じている方もいるかもしれませんが、実際にはいくつかの補助金が申請対象となっています。
次に代表的な3つの補助金を解説しますので参考にしてみてください。
IT導入補助金2023
IT導入補助金は中小企業や個人事業主のITツールの導入経費をサポートする制度です。
この補助金で、インボイス対応の会計ソフトや受発注ソフト、レジの導入費用が補助されます。
2023年6月20日から、「デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)」という新しい枠組みが加わり、インボイス制度への対応を強化するITツールの導入がさらに支援されるようになりました。
種類 | 商流一括インボイス対応類型 |
補助額 | ITツール ~350万円(下限なし) |
機能条件 | インボイス制度に適応した受発注機能を持つITツールで、発注側の事業者が受注側の事業者に無償でアカウントを発行し、利用させることができるもの。 |
補助率 | 中小企業・小規模事業者等:2/3以内その他の事業者:1/2以内 |
対象となるソフトウェア | インボイス制度に対応した受発注機能を持つクラウド型ソフトウェア |
賃上げ目標 | なし |
補助対象 | クラウドの利用料(最大で2年分) |
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が制度変更に対応し、経営革新や新商品の開発を推進するための設備投資をサポートする制度です。
この補助金は全国中小企業団体中央会が主導しており、特にデジタル枠では、ビジネスモデルや製品をデジタル化するDXに関する設備やシステムへの投資が対象となっており、インボイス制度に対応するためのITツールも補助対象になっています。
種類 | デジタル枠 |
補助額 | 従業員数 5人以下:100万円~750万円 従業員数 6人~20人:100万円~1,000万円 従業員数 21人以上:100万円~1,250万円 |
機能条件 | DXに資する革新的な製品・サービスの開発 デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善 |
補助率 | 2/3 |
賃上げ目標 | なし |
補助対象 | DX化を促進するもの |
小規模事業者持続化補助金 (インボイス制度の補助金1 : 小規模事業者持続化補助金)
この補助金は、インボイス制度を含むさまざまな制度変更に対応し、生産性の向上や新たな販路の開拓を促進することを目的としています。
補助金には「通常枠」と「特別枠」が存在し、特別枠内では特定の取り組みに特化したカテゴリが設定されており、補助の基本率は2/3と定められています。
この補助金では2023年2月27日の第12回公募より、「インボイス特例」が導入されました。インボイス特例とは免税事業者からインボイス発行事業者へ転換する場合変更補助上限が50万円増額されるという制度となっています。
>>小規模事業者持続化補助金の対象者と対象経費についての詳細はこちら
個人事業主がインボイス制度への対応で補助金を受給する際の注意点
ここからは個人事業主が補助金を受給する際の注意点について解説します。
この点をあらかじめ把握しておくことで補助金をスムーズに受けることができます。
以下を参考にしてみてください。
補助要件は事前に確認しておく (あらかじめ補助要件を確認しておく)
補助金を受け取る前には、必ず該当する補助要件を確認するようにしましょう。
各補助金には独自の要件が設けられており、時々更新されることがあります。
補助金提供団体のWebサイトで最新の情報を見つけ、その要件を満たしているかを確認することが重要です。
必要機器を事前に把握しておく (必要な機器を明確にする)
補助金を受ける際、必要な機器や資材を具体的に特定しておくことが必要です。
補助金は事業必要経費への援助として提供されるため、インボイス制度に適応するにあたって何が必要で、どれだけの費用がかかるのかをしっかりと把握しておく必要があります。
それらの情報が明確になれば、どの補助金が最も適しているのかを判断しやすくなります。
補助金も課税対象に含まれる (補助金は課税対象になる)
補助金を受給するときには、補助金の受給自体が課税対象になるので注意してくださいね。
補助金は所得として計上されるため、所得税や法人税が発生します。
このため、補助金を受ける際は、この金額から経費を差し引いた残りを経費として記録することを忘れずに行いましょう。
物品購入は交付決定後に行う (交付決定日以前の取引は対象外になる)
補助金の交付が決定する前の購入品は補助対象外となるため、購入や契約は交付後に行いましょう。
また、支払い方法にも注意が必要で、各補助金制度には特有の支出ルールが設定されています。
銀行振り込みが主に推奨され、手形、小切手、商品券、電子マネーなどの決済は補助対象外となることがあります。
10万円以上の現金払いやクレジットカード支払いも、補助対象期間内に完了することが求められるため、注意が必要です。
申込期限を把握しておく (事前に申込期限を確認しておく)
補助金を受給したい場合は、事前に申込み期限を確認しておきましょう。
補助金は、申込み期限が決まっています。期限を過ぎると次の募集時期まで待たなければいけないため、事前にスケジュールを確認し申請に間に合うように手続きを進めることが大切です。
予想外のトラブルが発生することもあるため、余裕を持って準備をしておきましょう。
注意点を理解しておこう!
インボイス制度に対応時の補助金に関するよくある質問
ここからはよくある質問に回答していきます。
補助金申請には多くの質問が寄せられます。
申請作業中に疑問点が出てきた場合にはこちらを参考にしてみてください。
パソコンの購入は可能ですか?
IT導入補助金では可能となっています。
IT導入補助金を利用してパソコンを購入する場合、指定された手順を踏む必要があります。
まず、単体でのパソコン購入は認められていません。
パソコンを購入するためには、補助対象となるソフトウェアの選定をする必要があります。
また、ソフトウェアの導入と同時に、パソコンやタブレット、プリンター、スキャナー、複合機などのハードウェアを選定する必要があるのです。
ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金ではパソコンを購入することはできません。
補助金以外でインボイス制度への対応の負担を軽減できますか?
インボイス制度の改訂を受けて、税負担の軽減を目的とした「2割特例」が導入されました。
この特例を使用すると、免税事業者がインボイス発行事業者に転換した際、税額は売上税額の20%と定められます。
主な特徴として、免税から課税への移行に伴う税金や事務の負担を緩和する目的があり、請求書の詳細な仕分けやインボイスの管理が不要となります。
また、売上税額を基に消費税の計算が可能となるのです。
この特例が適用される期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間と定められています。
特例を利用するための事前届出は不要で、消費税の確定申告書に、2割特例を使用する旨を記載するだけで適用が可能です。
この制度は経営コストを大幅に削減してくれるので、積極的に活用していきたいですね。。
インボイス対応のための補助金はいつまで申請できますか?
年内に申し込み期限のある回(IT補助金2023は12月25日、ものづくり補助金は11月7日、小規模事業者持続化補助金については12月12日まで)であれば、3つともインボイス制度対応のため補助金を申し込むことができます。
来年以降については詳細が不明なため公募要項などをご確認ください。
個人事業主は補助金を活用してインボイス対応の負担を減らそう
今回はインボイス制度について解説しました。
インボイス制度が始まり混乱する方も多いと思いますが、この制度を正しく理解し、補助金などを上手に活用できるようにしましょう。
この記事をきっかけにインボス制度について理解を深めていきましょう。
最後まで見てくれてありがとう!
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