A工事・B工事・C工事の違いは?工事区分や発注時のトラブルについても解説!

テナント開業で内装工事をするには、A工事・B工事・C工事の理解が必要になります。

A工事・B工事・C工事は、業者の選定・発注・費用負担がそれぞれどこにあるのかを表す言葉です。

工事区分を理解していなければ、トラブルにつながったり、適正な工事費用の発注が難しくなるためです。

そして、工事の権限や費用の支払いは、工事の区分によって異なります。

この記事では、A工事・B工事・C工事の違いを解説します。

ヨーダくん

テナント開業で内装工事をする人は必見だよ!

目次

【区分表付き】A工事・B工事・C工事の違いは?

A工事・B工事・C工事の違いは、以下の通りです。

 業者の選定・ 発注・ 費用負担によって、A工事・B工事・C工事が分けられます。

業者の選定発注費用負担
A工事オーナーオーナーオーナー
B工事借り主オーナー借り主
C工事借り主借主借り主

次の項目からは、A工事・B工事・C工事の違いを詳しく解説します。

A工事・B工事・C工事の対象工事

A工事・B工事・C工事の対象工事は、以下の通りです。

A工事・B工事・C工事の対象工事
  • A工事:テナントの共有部分で建物の躯体
  • B工事:テナント内の専有部分で建物全体に影響に及ぼすもの
  • C工事:専有部分で建物全体には影響を及ぼさないもの

A工事・B工事・C工事によって、対象範囲が異なります

そのため、B工事やC工事でA工事が対象の工事内容が入っているなら、適正な工事費用でなくなる可能性が高いです。

損をしないためにも、A工事・B工事・C工事の対象範囲を理解しましょう。

誰が工事会社を指定するのか

A工事・B工事・C工事で、工事業者の選定する人物が異なります。

建物全体に影響を及ぼす可能性が高いA工事とB工事だと工事業者の選定は、オーナーです。

C工事はテナント内の工事に限られるため、借り主が工事業者を選定します。

誰が工事業者に発注するのか

A工事・B工事・C工事で、工事業者に発注する人物が異なります。

建物全体に影響を及ぼすA工事は、工事業者の指定・発注がオーナーです。

B工事は工事業者を指定する権限はオーナーにありますが、工事の発注は借り主が行います。

C工事は局所的な工事になるため、指定・発注ともに借り主です。

誰が工事費用を負担するのか

A工事・B工事・C工事ごとに、どちらが費用を負担するのかが異なります。

基本的には発注者が工事費用を負担しますが、B工事のみ工事業者の指定がオーナー・発注が借り主です。

そのため、オーナーが工事業者を指定することで、工事費用が高くなる場合があります。

A工事・B工事・C工事の工事箇所

対象工事
A工事・建物の外装・外壁
・エレベーター
・共用トイレ
・給排水設備
B工事・空調設備
・防水設備
・防災設備
C工事・会社名や各部屋の案内表記の設置
・専有部分での建具の設置
・コンセントやブレーカー、照明の増設

ここからは、A工事・B工事・C工事の工事箇所を詳しく解説します。

具体的な工事個所も紹介しますので、工事区分に迷ったときは参考になさってください。

A工事の工事箇所

A工事の工事箇所は、以下の通りです。

A工事の工事箇所
  • 建物の外装・外壁
  • 共用トイレ
  • エレベーター
  • その他共有部分

A工事の工事箇所に含まれるのは、共有部分と建物の資産価値への影響が想定される箇所です。

B工事の工事箇所

B工事の工事箇所は、専有部分でも建物全体の影響がある部分です。

B工事の工事箇所
  • 空調設備
  • 防水設備
  • 防災設備

専有部分でも建物全体に関わる部分は、B工事となります。

C工事の工事箇所

C工事の工事箇所は、専有部分で建物全体に影響しない部分です。

C工事の工事箇所
  • コンセントの増設
  • 会社名や各部屋の案内表記
  • 専有部分での建具の設置
  • 照明器具の設置

建物全体に影響を及ぼさない工事は、C工事となります。

B工事・C工事を依頼する流れ

借り主として関わる場合、B工事・C工事が多くなります。

B工事・C工事を依頼する流れは、以下の通りです。

B工事・C工事を依頼する流れ
  • イメージを決める
  • 他にも工事個所があるならB工事・C工事に分ける
  • 工事業者に見積もりを依頼する
  • 工事の日程を調整する
  • 問題がなければ工事業者に発注する

入居時の工事は専有部分がほとんどなため、C工事が一般的です。

しかし、消火装置の移動などの防災設備や空調設備にあたる工事があると、B工事の箇所が発生します。

B工事だとオーナーが工事業者を指定するため、複数社で見積もりができなければ借り主が想定しているよりも費用が高くなるかもしれません。

よって、B工事・C工事の確認は入念に行う必要があります。

ヨーダくん

B工事に注意!

B工事特有のトラブルと注意点

B工事はテナント内の専有部分でありながらも、建物全体に影響を及ぼす工事です。

建物全体に影響が及ぶ場合には、オーナーが工事業者を指定します。

ここでは、B工事特有のトラブルと注意点を紹介します。

A工事の内容がB工事に含まれてるケース

A工事の内容がB工事に含まれてると、工事費用総額で借り主の負担が増えます

工事の手続きをする際の人的ミスがありえるため、すぐにオーナーに連絡しましょう。

工事がそのまま進行してしまうと、借り主が必要以上に工事費用を負担しなくてはならない恐れがあります。

区間によってはB工事として判断される

専有部分でも、区間によってはB工事と判断される場合があります。

このような場合には、どのような区間がB工事と判断されるのかを確認しましょう。

区間の基準を認識したうえで、見積もりを内容を確認します。

B工事は入居時の内装工事と退去時の原状回復費用が発生

B工事は、入居時の内装工事と退去時の原状回復費用が発生します。

入居時と退去時で2回の費用の負担が必要なため、注意しましょう。

入居時にB工事を行った場合には、退去時にも費用がかかると思ったほうが無難です。

あらかじめ工事区分表を確認する

工事を進める際には、あらかじめ工事区分表を確認しましょう。

工事区分がどのように設定されているかは、工事区分表で確認できます。

工事区分表で確認しておきたいのは、B工事の数です。

借り主としては、B工事区分が少ないほうが工事費用を抑えやすくなります。

工事区分の定め方は物件ごとに異なる

工事区分の定め方は、物件ごとに異なります。

共有部分はA工事で専有部分内のB工事などが一般論ですが、建物の設備やオーナーの考え方で異なるため注意しましょう。

例えば、入居時に防水工事が必要になったときにオーナーの考え方によって、工事の度合が変わる場合があります。

専有部分内で収まるのであれば業者の指定・発注が借り主側でできるC工事で良いという場合もあれば、防水建物に影響を及ぼすなら工事業者指定の権限がオーナーとなるB工事となる場合もあるでしょう。

工事区分の定め方に一般論はあるものの、建物やオーナーの考え方によって異なる点に注意が必要です。

大手ゼネコンだと10坪飲食店で100万円することもある

大手ゼネコンだと、10坪飲食店で100万円することがあります。

想定以上の出費になる可能性が高いため、入居を確定する前にB工事の条件を確認することが大切です。

B工事の費用を削減するための方法

B工事の費用を削減するための方法は、以下の通りです。

B工事の費用を削減するための方法
  • 工事発注の期日から逆算して見積もりを取る
  • 工事区分の内容を交渉して変更する
  • 基本設計はB工事への影響を確認して進める

次の項目からは、B工事の費用を削減するための方法を詳しく解説します。

工事発注の期日から逆算して見積もりを取る

内装工事を進める際には、借り主側でコントロールしにくいB工事を軸に考える必要があります。

工事発注の期日がわかれば、交渉期間や再見積もりの作成期間を想定することが可能です。

工事費が高額に感じられる場合、根拠をもって適性価格を目指すには期間の認識が必要になります。

なぜなら、オーナー側からしても借り主に工事費用の交渉をされたからといって、すぐには見積もりの再作成はできないためです。

オーナーや工事会社には利害関係があるため、良い条件を提示してもらうために交渉するには十分な期間があるかどうかを確認しましょう。

工事区分の内容を交渉して変更する

工事区分の内容に間違いがないかを確認します。

人的ミスによって、A工事がB工事になってる場合があるかもしれません。

また、工事区分の内容や範囲は変更できる可能性があります。

ただし、工事区分や見積内容をしっかり理解していることが前提です。

建物全体に影響が出ないはずなのにB工事となっている場合には、交渉によってC工事に変更できる可能性があります。

B工事をC工事に変更できれば、工事費用全体の削減が可能です。

基本設計はB工事への影響を確認して進める

C工事は、B工事への影響を確認しながら進めましょう。

なぜなら、基本設計の内容によってはB工事に影響を与える場合があるためです。

例えば、専有部分内で壁に関わる工事でスプリンクラーの位置を変更する場合には、C工事によってB工事に影響を与えます。

スプリンクラーの工事は防水設備にあたるB工事となるため、トータルの工事費用が高くなる可能性を高いです。

B工事への影響を考慮しながら、工事計画を進めましょう。

B工事の法律的な扱い

A工事・B工事・C工事という区分は、各工事の責任がどこにあるのかを分別するための分類です。

オーナーに責任があるのはA工事・B工事であり、C工事のみが借り主に責任があります。

A工事・B工事・C工事とは、工事後の対象が誰のものなのかを指していることも特徴です。

つまりA工事・B工事・C工事は法律上の所有者に関わる内容のため、民法上の権利も関わっています。

A工事・B工事・C工事のなかで、B工事に異質さを感じる人も多いのではないでしょうか。

B工事の発注者は物件のオーナーにあるため、工事業者の指定を行います。

工事区分を理解して適正な工事費用で発注しよう

今回は内装工事の工事区分について、A工事・B工事・C工事をの違い紹介しました。

A工事・B工事・C工事は、業者の選定・発注・費用負担がそれぞれどこにあるのかを表します。

特に注意が必要なのは、費用負担が借り主でありながらもオーナーが工事業者を選定するB工事です。

トラブルにつながりやすいB工事は、工事区分への理解や対処法の理解で対策できます。

工事区分を理解して適正な工事費用で発注してみましょう。

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