内装工事における耐用年数はどのくらい?減価償却時で注意すべきポイントも解説

「内装工事をしたけど、耐用年数をどうすればいいのかわからない」

「減価償却時で注意すべきポイントを知りたい」

そのような疑問をお持ちではないでしょうか。

内装工事における耐用年数を正しい年数に設定することで、確定申告の際の償却費を計算できるうえに、節税効果を狙えます。

しかし、そもそも耐用年数がよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、店舗やオフィスの内装工事を行う方へ向けて、内装工事における耐用年数と減価償却時で注意すべきポイントも解説します。

目次

内装工事の耐用年数とは

内装工事の耐用年数は、材料や設備の耐用年数に応じて設定されます。

また、耐用年数とは、破損などのない正常な使用状態で、機能や性能を持続できる期間です。

一般的には、壁や天井などの表面的な素材の耐用年数は10年程度で、フローリングなどの床材は15年程度となります。

ただしあくまでも一般的な目安であり、使用環境なども考慮する必要があるため、注意しましょう。

耐用年数と減価償却の関係

耐用年数と減価償却は、それぞれ固定資産税に関連する会計上の概念となります。

それぞれの定義は、以下の通りです。

耐用年数会計上の見積もりで、ある固定資産が有用とされる期間
減価償却固定資産の価値が減少することを前提に、固定資産の価値を定期的に減らすこと

具体的には、内装工事で設置された照明器具の耐用年数が5年と見積もられた場合には、5年にわたって減価償却が計算されます。

国税庁が定めた内装工事における資産の耐用年数

耐用年数と減価償却の意味はご存じでも、ケースごとの目安がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、国税庁が定めた内装工事における資産の耐用年数を具体的に紹介します。

内装工事における資産の耐用年数の目安にお役立てください。

内部造作物の耐用年数

内部造作物とは、店舗や事務所の内装などの改良工事で設置された作りつけ家具やパーテーションなどです。

そして、内部造作物は建物の構造物であってもそうでなくても、設置された建物の耐用年数を基準に適用します。

つまり、建物の構造に応じた耐用年数がそのまま内部造作物の耐用年数に当てはまることが特徴です。

建物の構造耐用年数(事務所用)耐用年数(飲食店用)耐用年数(店舗用)
鉄筋コンクリート50年34年39年
れんが造・石造・ブロック造41年39年39年
木造24年20年22年

室内の内装工事の耐用年数

クロスやフローリングといった室内の内装工事の耐用年数は、材料や設備の種類によって異なります。

床材15年
壁面剤10年
天井材10年
エアコン10年
照明器具5年

内装用電気機器の耐用年数

内装用電気機器の耐用年数は、店舗や事務所といった使用状況や製品の品質などによって異なります。

照明器具5年
コンセント10年
インターホン10年
換気扇10年

内装工事関連の勘定科目

内装工事に関する勘定科目は、一般的には固定資産勘定処理します。

一般的には、建物または建物付属設備の2種類です。

ここからは、内装工事関連の勘定科目を解説します。

建物として計上するケース

建物として計上するケースは、壁や床といった建物と一体型になった内装工事です。

具体的には、鉄筋コンクリートでできた事務所の壁を内装工事する場合には、耐用年数が50年となります。

しかし、同じ鉄筋コンクリートでも飲食店だと34年です。

事務所や飲食店などの建物の使用用途でも、耐用年数が異なるため注意しましょう。

建物付属設備として計上するケース

建物付属設備として計上するケースは、照明器具やガス設備といった建物と一体型になってない状態での内装工事を指します。

わかりにくい例だと、バーカウンターなどの店舗設備です。

一見すると一体化しているように見えていても、取り外しや移動ができるものは建物付属設備として計上します。

内装工事における減価償却の計算方法

耐用年数が判明したら、次は減価償却を計算します。

減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2種類です。

定額法は、必要経費を耐用年数で割ることで計算できます。

例えば、内装工事の費用が1,000万円で耐用年数が10年だと10年間の減価償却費は100万円です。

そして、定率法は償却率に応じて減価償却費を計算します。

具体的には、内装工事の費用が1000万円で償却率が10%なら1年目は100万円ですが、2年目は90万円です。

また、個人事業主の場合は、定額法で内装工事の減価償却を計算する必要があります。

内装工事における自社所有建物と賃貸物件の耐用年数

耐用年数は、自社所有建物または賃貸物件かによっても異なります。

ここからは、それぞれのパターンを詳しく解説します。

自社所有建物の内装工事

自社所有建物の内装工事の場合は、新築か中古かによって耐用年数の基準が異なるため、注意しましょう。

新築だと建物の種類から法定耐用年数を確認したうえで、耐用年数を判断します。

中古物件の場合には、使用可能期間を基準に耐用年数を計算するため、新築と比べると複雑です。

中古物件の使用可能期間は「(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)」で計算できます。

賃貸物件における内装工事の耐用年数

賃貸物件における内装工事の耐用年数を計算する場合には、国税庁の「No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数」を基準に計算します。

一般的な賃貸物件における内装工事の耐用年数の基準は、10~15年です。

さらに、以下の一定条件下で賃貸期間を耐用年数に含めることができます。

  • 賃貸借期間の定めがある
  • 賃借期間の更新がない
  • 買取請求ができない

減価償却時に注意すべきポイント

ここからは、減価償却時に注意すべきポイントを解説します。

取得価格を正確に算定する

内装工事の耐用年数を決定するには、取得金額を明確するにする必要があります。

なぜなら、内装工事には直接的な費用だけでなく間接的な費用含まれるためです。

具体的には、設計や施行費が直接的な費用となり、間接的な費用には建築設備の移設や解体費用があります。

取得金額が不明瞭な場合には、耐用年数や償却費用の計算が正確にできなくなる恐れがあるため注意が必要です。

取得金額を正確に把握するには、内装工事の請求書や領収書といった書類を保管しましょう。

償却開始時期を正確に決定する

償却開始時期は、内装工事の完成時期や取得時期を把握することで正確に把握できます。

一般的には内装工事が完成した時点から償却が始まりますが、完成後にもメンテナンスをする場合には償却開始時期を後にずらすことが可能です。

会計処理では償却開始時期を正確に決定したうえで、年度ごとの償却費用を計上する必要があります。

改修工事の経費計上

会計上の改修工事とは、工事によって資産価値を高めることを指します。

改修工事の内容によっては、工事費用を固定資産に計上するパターンだけでなく、必要経費に計上できる場合があるため、注意しましょう。

改修工事が資本的な支出とみなされれば固定資産であり、修繕費と判断された場合には必要経費となります。

法令解釈による定義の差があるため、ケースごとに把握しましょう。

原状回復工事の経費計上

原状回復工事とは、入居当初の状態を目指して資産機能を回復させる工事です。

原状回復工事は基本的には修繕費と判断されるため、必要経費となります。

ただし、仕分時に「原状回復費用」であることを明記する必要があるため注意しましょう。

内装工事の耐用年数は正しく理解しておこう

この記事では、内装工事の耐用年数に関して耐用年数と減価償却時を解説しました。

確定申告の際の償却費を正しく計算して節税効果を狙うには、内装工事の耐用年数を正しく理解する必要があります。

内装工事の耐用年数への知識を深めてみましょう。

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